『あんぱんまん』が教えてくれたこと―神話的考察

アニメ「それいけ!アンパンマン」の原作、やなせたかしさんの絵本『あんぱんまん』の神話的考察。

(7) 「ないているのは きみだったのか」

ないているのは きみだったのか、

もう だいじょうぶだ。

あんしんしなさい

f:id:anpanman-yokosi:20140816154022j:plain

 やなせたかし『あんぱんまん』フレーベル館 1976年

 

だんだんあたりが暗くなってきて、

とうとう泣きだしてしまった子ども。

でも、その泣き声は、確かにあんぱんまんに届いていました。

 

泣くということは、子どもであるということ。

子どもであるとは、弱いということです。

 

泣くことは、自分が無力であることの表明です。

産まれたばかりの赤ちゃんは、本当に泣くことしかできません。

自分の生存を、完全に他人に依存しています。

それが成長し、自立するにつれ、泣くことが少なくなっていきます。

 

大人はあまり泣きません。

でも、大人だって本当は子どもなのです。

自分の力ではどうしようもないことが、ある。

何でも自分で解決できる、そんなのはたぶん嘘なのです。

 

自分の弱さをさらけだすのは、とても難しいことです。

しかし、そのとき、あんぱんまんはかならずやってきます。

子どもであるとは、弱いということですが、

自分の弱さをさらけだせる人は、本当は強いのです。

 

あんぱんまんも、弱いのです。

弱さをさらけだすことは、与える生き方を始める最初の一歩です。

 

 

自分の弱さをさらけだせる人は、強い。